こんにちは、2歳児の子育て中&視能訓練士のヤス(@yasu)です
国家資格である視能訓練士免許を取得して、15年以上小児眼科に勤務してまいりました
弱視のお子様の検査や矯正訓練に携わる機会も多く、お子様の視力が成長する喜びを親御様とたくさん共有させていただき、とても有意義な視能訓練士人生を歩ませてもらっていると感じています
今回紹介する絵探しや迷路遊びの本は、脳の発達を促す知育絵本としてはもちろんのこと、家庭でできる目の弱視訓練としても利用できます
弱視訓練とは「しっかり見ること」です
一般に弱視治療というとメガネの常用やアイパッチによる健眼遮蔽(良い方の眼を隠すこと)などですが、「もっと子供のためにできることはないかな?」「他にもできることがあれば積極的にしてあげたい!」と考えておられる親御様は少なくありません
そこで今回は、家庭でもすぐに実践できて、楽しみながら弱視訓練ができそうな絵本を紹介したいと思います!
自分も2歳の娘がいますが、自分の娘がもし弱視だったら間違いなく実践すると思います!
ぜひ参考にしていただければと思います!
国家資格である『視能訓練士』免許を取得し、小児眼科併設の眼科クリニックで現在まで15年勤務
検査主任として小さなお子様の目の検査やメガネ合わせ、弱視・斜視訓練等を主に担当し、視能訓練士実習生の指導員も兼任する
令和元年にパパデビュー♪
仕事とプライベートで子供と接する毎日を過ごしつつ、持ち前の好奇心を生かし、日々新しい発見を探しています!
子供の目に関する役立ち情報(近視、遠視、乱視、弱視、斜視など)はInstagramで紹介しています!
視能訓練士の主な仕事内容が知りたい方は下記の記事を参照ください↓
絵探しや迷路絵本の効果について
まず、弱視訓練を行う上で目と手指と頭(脳)を連動して使う作業がより効率良く視機能の向上を促すことができると言われています
絵探しは、ますお題を見たり聞いたりして、その後広い絵の中から対象物を探し出して、見つけると「ここ!」と指します
迷路遊びはスタートからゴールまでの正しい道を探し出し、ペンや指でその道をはみ出さずに正確に辿る必要があります
どちらの遊びも目と手と頭を存分に使う作業であることがわかります
視力という機能は、何か文字を読む時や物の形の詳細を知りたい時に必須の機能です
これらの遊びの目的を達成するためには視力の発達が必要だということです
9歳頃まで続く視力の感受性期(成長期)にこれらの刺激を与えると「この難題をクリアするためにもっと見えるようになるぞー」って具合で、脳の見る領域の細胞が活性化して視力の発達が促進されるというわけですね!
弱視についてはInstagramにまとめていますので参照ください↓
視機能以外にも絵探しや迷路遊びには、お子様の脳の育成に効果があると言われていますね
- お題を覚えておく必要があり、記憶力(ワーキングメモリと呼ばれる短期記憶)を鍛えることができる
- たくさんの絵の中からお題を探し出すための観察力(詳細部分にまで気がつく能力)が磨かれる
- 短期記憶と観察力を使いながら、お題とそれ以外とを識別する能力が身につく
- 見つけることができた時に達成感を味わい、ドーパミンが分泌され、もっと難しいものにチャレンジしたいという意欲が生まれる
- 楽しいという感情が生まれ、集中力が高まる
- 周りが褒めることにより本人の自己肯定感が高まる
- 一連の作業の中で、対象物とその名称の繋がりが記憶され、語彙力が高まる
- どちらに進めば行き止まりにならないかを常に先を見て考えながら進めていく必要があるため、思考力や判断力が身につく
- 立体的に描かれた迷路にチャレンジする場合、迷路が描かれている物体の位置や方向、大きさや形状等を三次元空間内ですばやく正確に認識する必要があるため、空間認識能力が鍛えられる
- 絵探しと同様に集中力や達成でき、りと自己肯定感も高まる
- 鉛筆やペンを用いて迷路を行うと、それらの持ち方が上手になります(運筆力)
そして、絵探しや迷路遊びで育つ全ての能力は視覚と密接な繋がりがあります
「情報の8割は視覚情報から得られる」と言われており、脳全体の成長にも視覚(=見る力)の成長は切っても切れない関係にあるということです!
1〜2歳からおすすめの絵本
視力の発達は正常でも1歳児で0.3程度、2歳児で0.5程度です ※ここでいう視力というのは矯正視力を指します(正視の場合は裸眼視力)
弱視のお子様はさらに低視力のため、訓練当初は絵探しの対象物ができるだけ大きいものを選ぶことをおすすめします!
また、あまりに絵がごちゃごちゃしているタイプの探し絵も、弱視のお子様には向きません
きんぎょがにげた
きんぎょが にげた (幼児絵本シリーズ) [ 五味太郎 ]は超有名で名作の絵探し絵本です!
国境を越えて愛され続けている絵本です
お部屋の中に隠れたり、お花になったり、ページ毎に逃げたきんぎょがどこかに隠れています
1歳ぐらいのお子様から可能で、親子でコミュニケーションを取りながら行うことで脳は活性化します
ちっちゃなミッケ
ちっちゃなミッケ! どうぶつがいっぱい [ ジーン・マルゾーロ ]は絵探し絵本で定番の「ミッケ」の幼児用です!
お題の写真が載っているため、言葉が分からなくても大丈夫です!
厚手のボードブックなので、破損の心配もありません
持ち歩きもしやすいサイズになっていて外出先でも重宝します
このシリーズは全部で6種類ありますが、個人的には動物を覚えたてのお子様にはこの「どうぶつがいっぱい」が馴染みやすいかなと思います
知らないどうぶつの名前をお子様に教えてあげる機会にもなりますね!
アンパンマンをさがせ!①〜③
アンパンマンをさがせ!(1) [ やなせたかし ]は2歳前後のお子様はほぼ食いつくこと間違いなし!
興味は成長の原動力やから、どれを買うか迷っている方はまずはこのシリーズがおすすめやで〜♪
対象物も大きく、絵もごちゃごちゃしていないので比較的探しやすくなっています!
持ち運べるミニサイズ( アンパンマンをさがせ!ミニ(1) [ やなせたかし ] も販売されています!
アンパンマンをさがせ!シリーズのミニサイズで、①〜③シリーズ、【RED、BLUE、GREEN】シリーズのどちらも販売されています
さらに!0〜1歳からでもできる!はじめての アンパンマンをさがせ! (ベイビー・アンパンマン) [ やなせたかし ]も新しく発売されました!
ページを進むごとに難易度が少しずつ上がるため分かりやすく、発達程度によって調整が可能です!
2〜3歳からおすすめの絵本
3歳になると視力の発達は正常だと0.8〜1.0以上になります
弱視のお子様は、治療開始当初はこれより低い視力になります
弱視の程度が強い(0.2以下程度)お子様は、最初は対象年齢を下げた低難易度の絵本から訓練を開始するのがおすすめです♪
※ここでいう視力というのは矯正視力を指します(正視の場合は裸眼視力)
ちょっとやさしいチャレンジミッケ!
ちょっとやさしいチャレンジミッケ! シーモアのともだち [ ウォルター・ウィック ]は“シーモア”というキャラクターが主人公の年少版のミッケです!
家から外へ出ていろんな場所を行き、シーモアと隠されているアイテムをページの中から探します
チャレンジミッケ!よりも簡単な絵探しになっていて、2〜3歳ぐらいから楽しめます
チャレンジミッケ!に挑戦する前にまずこちらにトライ!!
アンパンマンをさがせ!(RED、BLUE、GREEN)
アンパンマンをさがせ!(RED) [ やなせたかし ] (RED、BLUE、GREEN)のシリーズは絵探しと間違い探しが混ざっており、アンパンマンを探せ!①〜③シリーズに比べ少し難易度が高めです。
絵探しの難易度も①〜③シリーズよりも高難易度です。
①〜③シリーズができるようになってきたら、このシリーズにチャレンジすると良いと思います!
間違い探しは2歳児にはちょっと、難しいかもしれません
どこどこどうぶつ
みつけてかぞえて どこどこどうぶつ うきうきうみのなか [ ガレス・ルーカス ]は世界21カ国で大ヒットの絵探しの絵本です
とてもカラフルでかわいい絵柄が特徴で、「海の中」意外にも「動物園」「森の中」「ゆかいな牧場」などがあります
弱視訓練は楽しみながら!が続けるコツなので、絵柄の見た目も重要です!
どこどこどうぶつは大人が見ても、ワクワクした世界が広がっています!
見つけるお題と、見つけて数えるお題があり、子供の発達具合に応じて長い間楽しむことができるのも良いところです
はじめてのめいろ
はじめてのめいろ 1集 (幼児ドリル めいろシリーズ) [ くもん出版編集部 ]は題にあるように、迷路遊びを初めて行うお子様にピッタリの絵本になっています
3部構成になっています
- ほぼまっすぐな道をスタートからゴールまで進むだけで、迷路のやり方に慣れることが目的
- 物の中にある簡単な道を進む
- 少し複雑な迷路を進む練習で、仲間集めをしたりと楽しみながらできる
弱視訓練に利用する場合も、徐々にステップアップできるため、とても分かりやすくありがたい構成になっています
はじめてのめいろ 2集 (幼児ドリル めいろシリーズ) [ くもん出版編集部 ]もあり、こちらは1集よりもややレベルが上がります
絵柄はかわいくて、楽しく迷路に馴染めるのでおすすめです♪
おとこのこのめいろ
かいて、あそんで、グーーーンとのびる!おとこのこのめいろ [ 新星出版社編集部 ]はその題にあるように、まさに男の子用です!
昆虫や恐竜、動物、新幹線、車、妖怪など男の子が好きそうなテーマの迷路が50点も描かれています!
迷路もレベル別に選べるので、2~6歳まで幅広く楽しめます
しかも全ての迷路に探し絵も付いていて、弱視訓練にはもってこいです!
書き込むことができる迷路ブックなので、手先も使ってさらに脳は育ちますね♪
子供の頃、迷路が大好きだったと言う脳科学者の茂木健一郎さんもおすすめしている迷路本です!
えほんトイっしょ ベリーくんのきのみやさん
絵本とおもちゃがセットになった、えほんトイっしょシリーズの迷路遊びベリーくんのきのみやさんです!
絵本のストーリーと連動した迷路遊びができます
マグネットが付いたペンで、きのみに見立てた球を運びます
目で見て、考えながら、手先を使うので、脳を活性化させることができ、弱視訓練に利用できます!
迷路の難易度は高くはなく、2歳頃から利用できると思います
【番外編】アンパンマン あそぼう!しゃべろう!ことばずかんPremium
番外編として、弱視訓練にも利用できるおすすめ玩具を紹介します♪
紹介するのは、2021年の日本おもちゃ大賞(エデュケーショナル-トイ部門)を受賞した「アンパンマン あそぼう!しゃべろう!ことばずかんPremium」です!!
対象年齢は3歳以上!
ずかんの絵をペンでタッチするだけで、アンパンマンのなかまたちが読み上げてくれます!
おしゃべりの数は2800種類以上も収録されており、日本語は2000 語以上、英単語は800語以上、二語文は370文以上です
クイズに絵探し要素も含まれており、ペンでタッチすることで手先を使用するので、脳や目は大いに刺激されるはずです!
親御様が問題をだして、お子様がタッチして遊ぶのも良いですね♪
アンパンマンという国民的人気キャラで、お子様は目を輝かせて楽しむことでしょう☆
長く楽しめるので、少しコストは高めですがとっても価値あるおもちゃだと思います
4〜5歳からおすすめの絵本
視力の発達は4歳になると1.0以上出るのが正常です
弱視のお子様は、治療開始当初はこれより低い視力になります
弱視の程度が強い(0.2以下程度)お子様は、最初は対象年齢を下げた低難易度の絵本から訓練を開始するのがおすすめです♪
※ここでいう視力というのは矯正視力を指します(正視の場合は裸眼視力)
1001のさがしもの
妖精の国 1001のさがしもの [ ジリアン・ドハーティ ]はもともと洋書ですが、日本語版としても販売されています
題名の通り、1001個のさがしものを見つける絵本です
絵は優しいタッチで細かく描かれており、独特の世界観が素敵な絵本です!
探すものがイラストと文字で書かれており、それをいくつ探すかを数字でわかりやすく記されているのが特徴です
かなり多くの探し物をすることになり、大人でも知らなかった名称の物も対象になっていることもあります
語彙力は間違いなく向上すると思います!
シリーズもので「妖精の国」「農場」「虫」「動物」「夏休み」「魔法の国」「世界の国」「世界の歴史」「世界の海」「クリスマス」「お城と騎士」「海賊」など豊富な種類があります!
お子様の興味に合わせて選ぶと良いと思います♪
1001ぴきの虫をさがせ! [ エマ・ヘルブラフ ]は虫がリアルすぎてビックリです!
虫が好きなお子様には超おすすめ!
大人は人によってはゾッとするかもです(笑)
New ウォーリーを探せ!
Newウォーリーをさがせ! [ マーティン・ハンドフォード ]は自分が子供の頃からある絵探しの定番ですね!
ページをめくる度に、違う国や時代を旅するウォーリーを見つけ出すのがこの絵本の目的です
この絵本の描写はかなり細かいのが特徴で、弱視の程度が強い(矯正視力0.2以下)お子様はかなり難易度が高くなります
ある程度視力が発達してきた頃(矯正視力0.5〜0.7程度)に行うと効果的でおすすめです!
めいろでめちゃめちゃあそぶっく
めいろでめちゃめちゃあそぶっく(わくわくタイム) 知育3さい~ (めちゃめちゃあそぶっく!) [ フィル・クラーク ]はイギリスで大ヒットした3〜5歳用の迷路本です!
おはなしと迷路が1つになった子供がとてもワクワクする構成になっています
1ページ毎に違うテーマになっており、全部で50以上の迷路が収録されています
ポップで色鮮やかな絵柄が特徴です
飽きずに長く遊べるので、弱視訓練にもおすすめです!!
このシリーズの塗り絵(ぬりえでめちゃめちゃあそぶっく(わいわいワールド) 知育3さい~ (めちゃめちゃあそぶっく!) [ フィオナ・ワッツ ])もおすすめです!塗り絵も弱視訓練になるので、ぜひ絵探しや迷路に組み合わせてみてください♪
旅あそび
JALの機内誌「SKYWARD」の人気連載まちがいさがしさがして!みつけて!旅あそび [ しんたに ともこ ]が絵本になりました
まちがいさがし12点に加え、絵探しも8点収録されています
自分もチャレンジしてみましたが、まちがいを全部見つけるのができなかったページもあり、難易度の幅が広いのも特徴です!
とてもかわいい動物たちが登場し、子供も大人も一緒に楽しめる絵本です♪
お出かけの際に気軽に持ち歩けるぐらいコンパクトなサイズです!いつでもどこでも弱視訓練ができますね♪
絵本はコンパクトサイズですが、絵自体は比較的大きく見やすく描かれているため、弱視訓練開始初期から利用しやすい絵本だと思います!
【番外編】磁石迷路 ストーリー アニマル 知育玩具
ばんがいへとして磁石迷路玩具の紹介です!
磁石のついたペンで目的地までボールを運びます!
集中力が要求され、手先を器用に使う必要があり、弱視訓練には最適です!
迷路は18種類あります!
5〜6歳からおすすめの絵本
ISPYミッケ・チャレンジミッケ
絵探しの定番「ミッケ」シリーズ!
ジオラマの写真の中に隠されている、おもちゃやアンティーク、ぬいぐるみなどありとあらゆるものを探す絵本
何度でも見たくなる独特の世界観が広がっています!
「ISPYミッケ①〜⑧」と「チャレンジミッケ①〜⑩」の難易度の違いはあまり感じませんが、どちらの絵本も全部見つけるのは至難の業です!
絵本の大きさは「ISPYミッケ」の方が大きいサイズになります
めいろどうぶつえん
飛鳥新社 めいろどうぶつえん【発売日以降のお届け】は様々の迷路模様の動物がたくさん登場します!
医学博士・白澤卓二先生推薦の50種類の迷路に挑戦できます!
レベル1からレベル4に難易度が分けられており、レベル4になるとかなり細かな迷路が待ち受けています!
徐々にレベルアップしていく楽しさやワクワク感、難関をクリアできれば大きなを達成感を感じることのできる迷路になっています!
弱視訓練後半の最後の追い込みにおすすめの絵本1選!
弱視後半の最後の追い込みとは「弱視訓練により視力が向上してきて、0.8〜1.0付近まで成長したお子様がもう一踏ん張りして1.2〜1.5の視力を目指す」ことを表しています
※ここでいう視力というのは矯正視力を指します(正視の場合は裸眼視力)
視力がかなり向上してくると、そのレベルに応じた視覚的な難易度が高い絵本を選ぶと訓練効果は上がります!
ポケット版 Newウォーリーをさがせ!
Newウォーリーをさがせ!のポケットサイズ版です!
何故これを弱視訓練後半の最後の追い込みにおすすめするかというと、とにかく描写が細かくて、これをしっかり見るには高度な視力が要求されるからです!
どれくらいポケットサイズかというと、縦160mm×横130mm×厚さ9mm!!
手のひらサイズです!
一般的な大判サイズの「Newウォーリーをさがせ!」でも描写は細かく、難易度は高い方なのに、ポケット版は大判サイズの4分の1以下です
これはまじで気合い入れないと難しいで!
しかも持ち歩きがしやすく、いつでもどこでもチャレンジできるのも良いですね♪
訓練効果を高める工夫5選
- 難易度が簡単なものから、視力発達状況に合わせて徐々にレベルをあげる
- 本人が楽しくできる題材の絵本を選ぶ
- 積極的にお子様に関わり、できたら褒める
- 絵探しや間違い探しは、慣れてきたら時間制限を設けてチャレンジする
- 迷路や塗り絵は急がずに丁寧に行い、スピードよりもはみ出さないように塗ることを意識させる