こんにちは、3歳児の子育て中&視能訓練士のヤス(@yasu)です
眼科で働く1児の新米パパです
国家資格である視能訓練士免許を取得し、15年以上がたちました
これまで子供からお年寄りまで幅広い年齢の患者様に向き合い、疑問はすぐに解決するスタンスで日々知識と技術を磨いてきました
小児眼科併設クリニックに務めているので、特にお子様の目の検査を行う機会が多く、斜視や弱視のお子様の検査・訓練をたくさん担当しています
弱視治療は長期戦なので、乳幼児期に弱視を発見したお子様も9歳頃までは定期検診が必要です
長く担当していると、目の成長と共に「あんなに小さかった子がもうこんなに大きくなったんだな〜」って、感慨深い気持ちにも浸ることがあります
視能訓練士という仕事は自分にとってはとてもやりがいを感じる素晴らしい職種だなと感じる一方、あまり楽しさややりがいを感じることができずに辞めてしまうスタッフもいるのが現状です
今回は、これまでひたすらに視能訓練士という仕事に向き合ってきて、この資格は「どのような人に向いているのか」「どのような人は向いていないのか」について、経験則からまとめてみたいと思います
視能訓練士を目指すか迷っている人には特に参考にしてもらえるような記事になっていると思います
- 視能訓練士の主な仕事内容
- 視能訓練士の適正
- 視能訓練士に必要なスキル
国家資格である『視能訓練士』免許を取得し、小児眼科併設の眼科クリニックで現在まで15年勤務
検査主任として小さなお子様の目の検査やメガネ合わせ、弱視・斜視訓練等を主に担当し、視能訓練士実習生の指導員も兼任する
令和元年にパパデビュー♪
仕事とプライベートで子供と接する毎日を過ごしつつ、持ち前の好奇心を生かし、日々新しい発見を探しています!
子供の目に関する役立ち情報(近視、遠視、乱視、弱視、斜視など)はInstagramで紹介しています!
視能訓練士の主な仕事内容
視能訓練士は小児の斜視や弱視の矯正・訓練を行う専門技術職として、1971年に日本で誕生しました
上記の内容に加えて、現在では子供からお年寄りまで幅広い世代の方に対して目の検査全般を担当し、患者様1人1人の視機能に合わせたメガネやコンタクト、ルーペ等の処方検査も行っています。
また最近では3歳児健康診査、就学前健康診査、生活習慣病の検診などにも参加しています
もう少し詳しく見ていきましょう!
小児の斜視や弱視の矯正・訓練
視能訓練士としては、1番の腕の見せ所です!
視機能(視力や両眼視機能)の発達は9歳頃までと言われており、弱視や斜視を早期に発見し、早期に適切な治療へと導く必要があります
お子様1人1人、目の性質(度数、視力、眼位等)は違うため、それぞれに合ったオーダメイドの矯正訓練を組み立てる必要があります!
知識と経験が要求される業務です
眼科領域の視機能検査全般
眼科と言えば、視力検査!というイメージが強いと思います
もちろん視力検査は代表的かつ非常に重要な検査ですが、実際眼科には他にもかなり多くの検査項目があります
視力検査、屈折検査、眼圧検査、視野検査、色覚検査、眼位検査、眼球運動検査、両眼視機能検査、大型弱視鏡検査、固視検査、中心フリッカー検査、涙液分泌検査、眼軸長検査、角膜形状解析検査、OCT検査、眼底写真撮影、蛍光眼底造影検査、電気生理学検査、超音波検査等…
眼鏡処方・コンタクト処方検査
眼鏡やコンタクトレンズ処方のための検査も行います
眼鏡やコンタクトの適正な度数というのは、人によって大きく異なるため、正確かつニーズにあったものを処方する必要があります
「情報の8割は視覚から得られる」と言われており、QOL(Quality of Life 生活の質)の維持・向上にはQOV(Quality of Vision 視機能の質)の向上は欠かせない要素です
そのQOVの向上のために、切っても切れない関係にあるのが眼鏡やコンタクトというわけです
ロービジョンケア
目の病気で視力や視野の障害が著しく、回復が困難な方に対して、今ある視機能を最大限活かすために必要な補助具(ルーペ、単眼鏡、拡大鏡、遮光眼鏡など)を選定するお手伝いを行います
検診業務
近年、3歳児健康診査、就学前健康診査、生活習慣病の検診などに視能訓練士も携わるようになってきました
やはり眼科疾患も早期発見・早期治療が大切なものが多いため、検診自体の質も重要ですね!
視能訓練士に向いている人5選
自分自身、視能訓練士として現在まで15年以上働き、また多くの視能訓練士実習生の指導も行ってきて、
「こういう人は視能訓練士でやりがいを感じやすいだろうな」
「こういう人は視能訓練士として活躍できそうだな」
「こういう人は視能訓練士という資格をうまく活用できそうだな」
といったことが、経験談としてある程度明確になってきました
ではその特徴を1つずつ見ていきましょう!
人の悩みに親身になれる人
『周りに悩んでいる人がいると、その人の不安や苦しみに寄り添い、その悩みが解決する方法を一緒になって考えることができる』
そういう人は視能訓練士に向いています!
目の悩みはデリケートで、人生の中でも非常に重要度が高いものです
前述した通り「情報の8割は視覚から得られる」わけですから。
「目が悪くなってつらそうだな。自分が少しでもよく見えるようなメガネを合わせて希望を与えてあげたい!」
「メガネ合わせをしたけど、思ったよりも満足してもらえなかった…何故かな?度数をどういうふうにすればよかったのかな?もっと勉強して次は満足させてあげたい!」
「お子様の弱視治療に不安よりも希望を持って前向きに取り組んでもらいたい!そのためにはどういう風に説明してあげると良いかなぁ」
「もっともっとわかりやすく説明できるようになりたい!」
人に親身になり、困っている人を放っておけないタイプの人は、患者さんの目の悩みを解決するためにもかなり努力します!
追求します!思った結果じゃなかった場合、どんどん勉強します!
視能訓練士としての力量も自ずと上がります!
そして患者さんから感謝のお言葉をいただき、やりがいを感じることもできるというわけですね
コミュニケーション能力が高い人
視能訓練士は病院やクリニックで勤務することがほとんどで、医師や他の医療スタッフと連携して働きます
また、患者さんの検査や訓練を行うことやインフォームドコンセント(十分な説明と同意)がメイン業務なので、会話ありきで成り立つ仕事です
常に人と接する職業のため、コミュニケーション力があるととても働きやすくなります
聞き上手&話し上手ってことですね!
患者さんは医師には気を遣って、聞きたいことが聞けなかったり、相談できなかったりすることも多く、そんな時の相談の窓口にもなれると患者さんには安心してもらえますね
周りのスタッフとの人間関係構築も、気持ちよく仕事する上では絶対に無視できない事柄です
周りのスタッフへの思いやりや感謝、状況判断(いわゆる空気を読むこと)等もコミュニケーション力の一環です
子供が好きな人
視能訓練士として働く中で、子供の検査を行う機会が、非常に多くあります
子供はなかなか思うように検査をさせてくれません
大人に比べて集中力もなく、苦労することもあります
そんな子供に上手に検査してもらうには、子供自身の恐怖心を取り除き、検査を楽しんでもらう必要があります
そのためには大人(検査員)が、まず子供の目線で楽しそうに笑顔で話しかけ、徐々に信頼関係を築いていきます
最初は泣いてしまう事も多いですが、根気よく接します
正直大変なことも多いですが、元々子供が好きであれば、泣いてしまっても柔軟な心で対応し、上手にあやしながら必要な検査を遂行できると思います
そういう意味では子育てを経験した視能訓練士は仕事にも大いに活かすことができますね♪
効率良く動ける人
“効率良く動ける=処理能力が高い″とも言うことができます
視能訓練士は日々の忙しい外来業務の中で、様々な検査をこなします
検査結果を医師に提示し、診察が行われます
逆に言うと検査が終わらないと、診察ができません
周りの状況に常に見ながら上手に動き、外来の流れをうまく循環させる働きも視能訓練士が担っています
外来の混み合い状況に応じて、自分のギアを柔軟に変える必要があります
もちろん、検査をただ早くこなせば良いかと言えばそうではありません
検査の質や患者さんへの接遇も高く維持しないといけません
「検査の質と量のバランスを常に高いレベルで維持すること」
これを両立するには無駄を省いた効率の良い動きが求められます
それが雇われの身である視能訓練士にとって、医師からの評価のアップにも繋がり、それが仕事のやりがいにも繋がりますね
子育てしながら働きたい人
視能訓練士と良いところとして、夜勤がなく、病院勤務であれば定時の17時に退勤できることほとんどです
そのため出産後も子供を保育所に預けながら、正社員として働くことも可能です
また、全国にいる眼科医の数に対して、視能訓練士数が必要数に達していないと言われており、パートやアルバイトとして短時間勤務でも募集している施設(主にクリニック)も多い傾向です。
さらに、仕事内容的にも立ちっぱなしや座りっぱなしといった身体的負担も少ないこともメリットです
個々の生活スタイルに合わせて、働き方を選びやすい職種だと言えますね!
視能訓練士に向いていない人3選
残念ながらあまりやりがいを感じることができなかったり、視能訓練士という仕事に馴染めずに辞めてしまう方も少数ですがいるのが現実です
そんな人に共通している傾向から、視能訓練士にあまり向いていないかも?と思う特徴を3つ紹介します
自分のペースで仕事をしたい人
視能訓練士は医師や看護師など周りの医療スタッフと協力し、連携し合いながらより良い眼科医療を提供する立場です
また、医師の指示の下で業務を行うため、個々の医師の考えに合わせて動く必要があります
周りとの調和、良好なコミュニケーションが基本の仕事だと思っていただけると良いと思います
コミュニケーションが苦手で自分のペースで仕事をしたいから、視能訓練士として独立開業しよう!!っと思っても、日本では法律的にも難しいのが現状です↓
(特定行為の制限)
第十八条 視能訓練士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める矯正訓練又は検査を行なつてはならない。
厚生労働省 視能訓練士法より引用
医師がいない環境では視能訓練士業務(検査・訓練)はできないということです
数字や計算が苦手な人
視能訓練士業務にはかなり多くの数字がでてきます
目はとても小さな器官のため、細かな数値を駆使して検査の正確性を高めています
視力検査時のレンズ交換をはじめ、メガネやコンタクト処方検査で本人がピントを合わせたい距離に度数を設定したり、視野検査の際に使用するレンズの度数を決めたりする時にも計算が必要になります
この計算が瞬時にできないと検査処理速度が低下して周りとの連携がしにくくなる他、計算ミスが医療ミスにつながる可能性も否定はできません
そんなに難しい計算はないので、慣れによって克服は可能ですが、極端に苦手意識が高い方は視能訓練士には向いてないかもしれません
危機管理能力が低い人
危機管理能力とは「発生する可能性のあるトラブルを回避する、または発生したトラブルを最小限に抑える能力」のこと言います
この能力が著しく低い人は、視能訓練士だけでなく医療系自体が向いていないと言わざるをえません
- 行き当たりばったりで計画性が乏しい
- 「まぁいっか」でばかり処理する
- 時間管理が苦手
- 同じミスを繰り返す など…
こういう性格傾向の方は、1つのミスが致命傷になりかねない医療分野は避けた方が無難かもしれません
まとめ
自身の経験が、視能訓練士を目指すかどうか進路に悩まれている方の役に立てれば嬉しく思います
最後にもう一度まとめたいと思います
- 人の悩みに親身になれる人
- コミュニケーション能力が高い人
- 子供が好きな人
- 効率良く動ける人
- 子育てしながら働きたい人
- 自分のペースで仕事をしたい人
- 数字や計算が苦手な人
- 危機管理能力が低い人
1つ当てはまるから「向いている」「向いていない」という分け方ではなく、当てはまる項目数によって総合的に判断していただければと思います!
以上、参考になれば嬉しいです
最後まで読んでいただき、ありがとうございました